アーカイブズ工房 

『ライブラリー・リソース・ガイド』第18号

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『ライブラリー・リソース・ガイド』第18号を読みました。今号はアーカイブズの話が中心です(以前の号を全部読んでいるわけではないです。)

http://www.arg.ne.jp/node/8867

[目次]

岡本真「『意思を持って雑誌をつくる』ということ」

大原ケイ「壮大なバイオグラフィーとしての大統領図書館」

岡本真「総理大臣資料はどこにある?」

岡本真「『総理大臣資料』全調査」

福田康夫 元内閣総理大臣 特別インタビュー/インタビュアー:松岡資明 「公文書の扱いとその国のかたち」

猪谷千香「図書館エスノグラフィ 東京学芸大学学校図書館 運営専門委員会」

佐藤翔「連載 かたつむりは電子図書館の夢をみるか LRG編 人並の人生も幸福も期待していなかった図書館情報学徒、10年後の実態」

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米国大統領図書館はいわゆる通常の図書館ではなく、NARA(米国国立公文書館記録管理局)管轄下にあるアーカイブズ機関です。これを読むと、記録の管理にあたっては、大量の公文書のなかから何を残すのか、それを判断し実行する評価選別という作業が存在し、これをアーキビストが行っているということがわかります。この点はライブラリアンの仕事とは異なるので、たぶんこの雑誌の多くの読者の方々である図書館関係者の方は興味深く思われるでしょう。また最近のデジタル化によるオンライン公開なども詳しく紹介しています。

「総理大臣資料」というのは、岡本さんの言葉。

「『総理大臣資料』という言葉には学術的な定義があるわけではなく、私が自分の問題意識を整理しながら考えた言葉である。」(47ページ)

区分として、岡本さんは「公文書類」「(個人蔵の)書類」「日記・日誌」「書状・書簡」「書画類」「著書・蔵書」「愛用品」をあげている。そしてご自身の問題意識としては、「総理大臣資料」のうち「著書・蔵書」が中心ということです。

歴代総理大臣の残した資料(recordsではなくて、もっと広い概念)の所在を包括的に調べてみた、というこれまでになかった取り組みです。今後さらに体系化されるといいと思います。(国会図書館のリサーチ・ナビに「総理大臣資料」としてリンクできたらいいのでは、などとも思います。)

元日本経済新聞の松岡記者による福田元首相のインタビュー記事はぜひ多くの人に読んでいただきたいです。昨今のさまざまな問題の多くが公文書管理と密接に結びついていると思います。記録を着実に後世に伝え、政策形成に役立てていくその意義を語っておられます。

一方、各種図書館所蔵の地域資料や特殊コレクション、いわゆる図書資料とは異なる資料(アーカイブズ的なもの)に関して、さらに同様の調査や整理を期待します。そこにしかない、それ1点しか存在しない、そのような資料類をケアして提供していくことへの関心が高まってほしいなぁと感じます。

今後もこのような方面の企画(とくに地域資料、特殊コレクション関係)を続けてもらえたらなぁ、とおおいに期待するものです。